基本のセルフケア
母乳のための胸のセルフケア
オンラインプログラムで詳しくご紹介していますが、こちらで簡単にご紹介します。
母乳のセルフケアは、少しずつ赤ちゃんが吸いやすい乳頭乳輪に整えることから始めましょう。
乳頭が小さくても、短くても、陥没していても、赤ちゃんは乳頭だけを吸っているわけではありません。乳輪から乳首を、舌の上に下唇がわを深く捉えて飲みます。
乳頭から乳輪を縦に軽くつまんで、親指の関節まで届けば、充分赤ちゃんの舌の上まで届く準備ができています。
滑ったり、つかみ難いようなら、赤ちゃんも少し吸いにくいかもしれません。
以下のセルフケアは、張りやすい方や、切迫早産傾向や安静指示などが出ている場合、おなかが少しでも張る場合は、37週を超えたり、お産が始まって以降積極的に行うとよいでしょう。
① 入浴時に、ガーゼで乳頭の先を拭いて垢のような分泌物を拭きとります。
陥没乳頭の場合は、付け根をつまんで内側を出して拭きましょう。
表面が出てこない場合は、綿棒にオイルなどをつけて中をやさしく拭き取ります。
妊娠後期から産後胸が張るまでのソフトニング母乳ケア
胸が張る前の数日は、体を休めるとともに、胸のセルフケアをして整えたり、抱き方やラッチオンの練習を行うのにとても良い時期です。
母乳を作るプロラクチン濃度が一番高いのは、出産直後です。
授乳や搾乳をしない場合、プロラクチン濃度は1週間程度で妊娠前に戻ります。
産後胸が張ってくる前の時期に、定期的に(可能なら2~3時間以内に)セルフケアか授乳や搾乳を行ってプロラクチン濃度を保つことは、母乳が作られるためにとても大切です。
すぐに授乳できない場合は、体調が許せばなるべく早い時期から、セルフケアを行います。
<硬い乳頭が緩むセルフケア>
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乳頭と乳輪を3本指で縦につかんで3~5秒しっかり圧迫します。方向を変えながら、2~3時間おきに片方2分程度行います
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陥没している場合は、へこんでいる部分が少しずつでも表面に出る様にソフトにつまむ
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胸をソフトに保持して胸の底をフワフワと揺らす
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乳輪を3方向に分けて背中側に押す。
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1~4の後に授乳を行うか、授乳が難しい場合は、母乳が流れ出る様になってきたら、全体で5分程度母乳を絞ります。
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シャワー時に、乳首の先端をガーゼなどでソフトにこすります。
<ポイント>
赤ちゃんは乳首だけを吸うわけではなく、乳輪から乳首を吸います。親指の第一関節までつまめる様に乳輪と乳頭をケアすることで、乳首が短くても授乳は十分可能です。
<母乳量について>
目安として、張り始めるまでの母乳量は1日30㏄位。1回の母乳量は数㏄、にじむから流れる程度です。
赤ちゃんの胃は、生後すぐは5~7㏄、1週間で45~60㏄位です。
授乳量が増えるまでは、授乳回数で胸を刺激しながら1日母乳量を補っています。
胸の張りはじめは個人差があり、胎盤が出てから反応するまでのタイムラグは36〜96時間くらいですが、すぐに出始める方も少しいらっしゃいます。
母乳は沢山出ればよいというわけではありません。母乳は市販の牛乳のように分離しないように加工されていません。多すぎれば飲みきれない母乳が分離して粒ができて母乳トラブルが起こることがありますので、母乳量の調整が必要となります。
また、飲ませたりケアせずに溜めることで母乳の中の断乳因子が働いて母乳量が減る場合もありますので、胸が張り始めたら、赤ちゃんに必要な量が必要な分作られるように調整することが最も大切です。
ソフトニング母乳ケアの基本的な授乳方法
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ママの姿勢を整えて赤ちゃんのお口が乳首の前に来るように高さを整えます。
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赤ちゃんの顎が上がってやや上向きに胸に向かうように、交差抱きで赤ちゃんの背中側から肩と首を支えます。
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反対の手で胸の付け根を下から支えるか、乳輪を少し上に引いて乳首が少し上に向くようにします。
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赤ちゃんの下唇を乳輪に深めにセットして、口が開いたときに乳頭の上まで入れましょう。赤ちゃんの口の中は上に大きくスペースがあり、下には舌があるので、赤ちゃんの顎が上がり口の中のスペースの方向に斜め上に向かって授乳します。また、舌の厚みの分、下唇側が深めに入っていないと乳首の上側だけが吸われてしまいます。
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お口の開きが小さい時は、胸を下から支えて赤ちゃんの顎に人差し指を横向きにセットし、赤ちゃんの口が大きく開いた時に、指で顎を軽く支えると大きな口でくわえる事が出来ます。
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授乳が軌道に乗るまでは、授乳が終わった直後に、乳首の変形やごわつきをチェックして。母乳が出る部分が吸われているか、吸いすぎて硬くなっていないか確認します。
生まれたばかりの赤ちゃんは、ちっちゃなお口の事が多いかと思います。このまま真っすぐに乳首を入れて飲ませようとしても、舌にさえぎられて舌の上に乗らず、浅吸いになり、乳首の表面の皮膚だけが引っ張られてしまいます。↓
舌が巻き上がると、吸っているようでも、舌で乳首を押し出したり、自分の舌やほっぺの内側を吸って、上手に吸えません。↓
赤ちゃんの唇を、指か乳首でトントン刺激して、探索反射で口が大きく開き、舌が下がって少し見えるタイミングで、口の中の上あごに向かうイメージでくわえてもらいます。
↑赤ちゃんのお口がこんな感じに開いていると、舌の上に乳頭と乳輪が乗りやすいですよね。
乳首が短かったり、陥没乳頭、乳輪が硬くて伸びにくい場合は、赤ちゃんのお顔が下から上に向かうフットボール抱きがお勧めです。
横線の入るタイプの陥没乳頭は、乳首が中に逃げないように横線の両端に唇が向かうようにポジションを取ります。
<注意点>
産後すぐの赤ちゃんは、吸てつ反射によって吸い、頻繁に胸を刺激します。深く吸えていないと、乳首の表面を吸いすぎて硬くなったり傷ができやすくなります。
<むくみで硬くなった乳首のセルフケア>
授乳直後や搾乳器直後に行います
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手のひらを外側にして、人差し指と中指で横から乳首を支えます。
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乳首の表面の硬いところを
親指でじっくり5秒圧迫して離すを繰り返します。
産後2~7日目の強い張り(うつ乳)
産後胸が張るまでは、母乳はほんの少しにじむ程度です。
産後36〜96時間くらいに胸が張り始めると、一気に母乳が作られて、1日であっという間にピークに達します。この極端に強い張りのうつ乳の反応は、2〜3日で落ち着きます。
母乳が適度に出されずに張りすぎると、乳腺の内圧が上がり水分が押し出されて、胸も乳輪も浮腫んでしまいます。乳管も押されて狭くなってしまうため、張っているのに絞っても出なかったり、張りすぎて乳輪が滑って赤ちゃんが飲みにくくなります。
うつ乳の時期には、乳輪の浮腫みを取って赤ちゃんにしっかり飲んでもらうか、搾乳で出していきましょう。
<むくみのセルフケア>
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張っている胸を根元にたどって、痛い部分より一歩胸の底の部分を片手でソフトに支えます
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反対の手の指で、,乳首の縁から乳輪を、3方向に分けて背中側にゆっくり3~5秒押します
乳輪のむくみが取れると、乳頭乳輪が柔らかくなり赤ちゃんが飲みやすく、管の圧迫が取れて母乳も出やすく搾乳もしやすくなります。
<うつ乳の時期の搾乳>
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乳輪乳頭の浮腫みを取る
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母乳が流れるようになったら、背中側に押したまま軽くつまむ。かなり外側から圧をかけると出てくる場合もあります。
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又は、両手で胸を覆って、胸の底からソフトに少しずつ圧をかけて絞ります。
<オキシトシン搾乳>
搾乳器を使用する場合は、オキシトシン反射(陣痛のように母乳が出たり出なくなったり波のように繰り返す)を利用し、出ない時間帯に引っ張らないようにします。
出ない時間帯はソフトな刺激をして次のオキシトシン反射を待つ時間帯です。
引きすぎるとむくみが悪化して乳頭の皮膚がゴワゴワに硬くなってしまいます。
母乳は、基本的に需要と供給で出した分が作られます。
産後すぐから最初の張りはじめの時期は、母乳が順調に増えていくための一番大きなタイミングです。
出さずに全体を張らせておくことは、母乳の断乳因子を働かせることになり、作られる量(張り)は抑えられていきます。
沢山作られるのに出されないと、胸は硬くしこりになっていきます。
部分的に圧がかかると脂肪やたんぱく質の粒が圧縮されて塊となり出る時に詰まったり、さらに乳腺に圧がかかると乳腺炎になる場合もあります。
逆に、空になるくらい出していると母乳は増えていきますが、必要な分以上に作られると母乳過多となります。
母乳過多は、母乳が残って分離することで脂肪やたんぱく質の粒ができて、詰まりを繰り返す場合もあります。
赤ちゃんが必要とする分が作られて、成長に合わせて授乳回数が増える事で刺激されて母乳量が増えます。
母乳量が増えると授乳回数は落ち着き、成長で飲むパワーがアップすると授乳時間が短くなっても一回母乳量は増えていきます。