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執筆者の写真徳永助産師

【助産師監修】出産直後・探索反射・乳頭混乱

更新日:2022年8月20日


 

出産直後の2時間


出産後、胎盤が剥がれると、母乳を作るための最終段階がスタートします。 産後すぐのプロラクチン濃度は最高値となっています。 プロラクチンは、母乳分泌作用などを持つホルモンです。

産後2時間ほどは、たとえ吸いにくい形や硬さの乳首であっても、プロラクチンの影響で柔らかく吸いやすいことが多いので、母子が可能な状態であれば授乳にトライすると良いでしょう。

産後2時間は、赤ちゃんは子宮外の環境に対応するための不安定な時期でもありますので、医療者に見守ってもらいながら安全に行うと良いでしょう。


様々な状況ですぐに授乳が行えなくても、ご心配はいりません。

出産直後でも寝たまま簡単に行えることがいくつもあります。

 

ラッチオン詳細


授乳のポイントは、ラッチオンです。 ラッチオンとは、おっぱいを赤ちゃんがしっかりととらえる飲ませ方です。

授乳の時に、赤ちゃんは乳首を吸っているのではなく、乳首と乳輪をくわえています。 ですから、実は乳頭だけではなく、乳輪の柔らかさや伸びが授乳の大切なポイントです。



赤ちゃんが乳首にまっすぐに向かって吸うと、舌の下側のおっぱいの長さが足りずに、乳頭の上側だけ引っ張られて歪み飲みになってしまいます。

赤ちゃんの顎からおっぱいに向かい、下唇が乳首から親指の第一関節位離れたところに最初に触れます。

赤ちゃんの口周囲を刺激してお口を大きく開けて舌が少し出た状態の時に、乳首の少し上のあたりに上唇が届きます。 つまりは、下唇側が深く、上唇側が浅くくわえることで、乳頭の中心が口の中では中心に来るということになります。

注意点として、舌が上がったままでは、口に入ったように見えても全く赤ちゃんは飲むことが出来ません。

大人でも、ストローを舌の下に入れても飲めないのと同じです。


また、赤ちゃんの頭を押さえると、逆に頭を反りますので、首の付け根から肩を支えましょう。

唇を刺激してもお口をあけなかったり、舌が上がったままになる赤ちゃんには、生まれつき赤ちゃんに備わっている探索反射を利用します。


 

探索反射について


探索反射は、練習しなくても最初から赤ちゃんに備わっている原始反射の一つです。

赤ちゃんが子宮外で生きていくために、又は神経が発達途中であるために起こるのが原始反射で、3か月から半年くらいで見られなくなっていきます。

モロー反射などが有名ですね。

せっかく備わっている探索反射がみられなくなることは割と多く、入院中などの早い時期に、探索反射を使わずに哺乳瓶の乳首を口にすぐに入れて吸わせていると起こりやすいように思います。

赤ちゃんが探索反射を使わなくても吸えることを学ぶことで、哺乳瓶はすぐに吸えるけれど、母乳は吸えないということがよくあります。 これを乳頭混乱と呼ぶ方もいます。

乳頭混乱というと、まるで赤ちゃんが混乱しているように感じますが、実際は、大人が探索反射を使わない飲み方を赤ちゃんに教えただけです。

探策反射は、赤ちゃんの唇をちょんちょんと刺激したり、乳首や指でなでてあげると、口を大きく開けて舌を下げたり、乳首を探して首を振ったりする反射です。

『母乳をあげようとすると、イヤイヤして嫌がるんです』と勘違いされるママもいらっしゃいます。

実際は赤ちゃんが母乳を飲もうとして、一生懸命に乳頭を探している途中ですので、大丈夫ですよ。

決して母乳を飲むのを嫌がっているわけではありません。


 

探策反射を利用してみる


哺乳瓶でミルクや搾乳をあげる時には、探求反射を使って赤ちゃんが口を大きく開けて舌を少し出すまでしばらく待ってみます。

母乳を飲んでもらおうとしても、舌が上がっていたり、浅飲みになったり、上手くお口が開かないときには、きれいに洗った指でお口をチョンチョンしたり、唇をなでたりしてみます。

それでもお口をあけないときには、指の腹を上にして人差し指をお口の中の舌の上に少し入れてみます。

赤ちゃんが指を上手く吸えないようなら、授乳のたびに練習をしてみましょう。 大抵は、2~3回の授乳やミルクの時の練習で、思い出したように口をあけて探し始めます。


 

コラム

産科の夜勤をしているときに、ママが疲れて夜赤ちゃんをお預かりしたことがありました。


お預かりするときに、母乳を全然吸ってもらえないというご相談を受けました。


赤ちゃんに探策反射がみられなかったので、探策反射のご説明をしてから朝まで赤ちゃんをお預かりさせていただきました。

夜中ミルクの度に根気よく探索反射の練習と、吸啜の練習を行っていると、少しずつ探求反射がみられるようになりました。


朝、赤ちゃんをママのもとにお返しした時点の授乳練習では、それまで飲めなかったおっぱいも吸いつける様になっていました。

赤ちゃんに最初から備わっている探索反射は、赤ちゃんがその時期に生きていくために、必要で備わっている大切な反射なのです。


ミルクをあげる場合にも探索反射を利用することで、授乳時にもおっぱいを探して吸えるようになります。


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